映画「梅香里」のなかのインタビューより


鄭 柚鎮(チョン ユジン)さんの言葉

「私はこの仕事をやれたことに感謝しています。7年間を振り返ってみて大変なこともたくさんありましたが、感謝している理由は、人の苦痛を理解できるようになたことです。苦痛が人間の可能性、幸福をどれほどまでに奪うものか、それを心から理解できるようになれたことに感謝しているのです。言い方を換えれば人権や生命の価値について認識を深めたということです。私は韓国社会にある矛盾の中で、米軍問題が最も大きなもので、これさえ解決すれば他の問題 たとえば売春問題や障害者問題も全て解決するものと思っていました。しかし、この仕事をしながら苦しんでいる被害者の生の声を聞いて米軍が撤収しても被害者の苦痛が無くなる訳ではないということを知ったのです。米軍犯罪の被害者の多くは貧しくて性的に純潔ではないということで差別を受けている人たちなのです。私はこの仕事をすることで、人間に苦痛を与える暴力の問題について認識を深めることが出来たこと、それを解決しようと努力するようになった自分自身に感謝しているのです」

「私は1997年に初めて沖縄を訪問した時、「命どぅ宝」「結」という昔からある言葉を聞いてとても衝撃を受けました。人間の命 生きているものの生命がこの世の中で最も重要なんだということを悟った喜びと、なぜその事を今まで知らずにいたのかという悲しみが複雑に絡み合いながら私に悩みをくれた言葉だからです。21世紀の人類には課題がたくさんありますが、軍事力に依存する安全保障の考え方を壊すことです。一人一人の人間が平和で幸せに暮らせる人間の安全保障に変えることがとても重要な課題だと思います。その課題を実現するために、早くこころから悟らなければならないのは「命どぅ宝」という沖縄の精神ではないか。それをどう多くの人々が気づくかだと思います。」

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全 晩奎(チョン マンギュ) さんの言葉

「まだいろいろ学んでいる最中ですが、最初のきっかけが私も含めてここの住民の生命を守ることでした。我々の生存権をとり戻すために闘争を始めたのです。しかし闘争を続ける中で違う視点が見えてきました。この闘いはメヒャンニ住民だけの生存権の問題ではないこと。メヒャンニ米軍爆撃場を通して私たち民族の問題を考えるようになり、民族の主権という問題や分断の痛みを感じたことでした。外国から特にアメリカによって分断を経たという本質的な問題を認識し勉強ができた時間だったと言えます」