ビデオドキュメンタリー 風流れるままに ~アルツハイマー病の妻と生きる~



[作品解説]



ビデオドキュメンタリー風流れるままに~アルツハイマー病の妻と生きる~
誕生の背景と、

   (1995年製作の関連作品) 記録映画おてんとうさまがほしいの紹介

 茨城県日立市在住の映画照明技師・渡辺 生さん(本名・坂本 生/大正6年 新潟県小千谷市出身)は、1980年代に62歳の若さで痴呆の症状(現在の認知症)が始まった妻・坂本トミ子さん(大正15年 茨城県日立市出身)との生活を、1988年から十数年にわたって、ビデオと16mmフィルムで撮影記録されました。

 16mm・ドキュメンタリー映画
 
おてんとうさまがほしい(1995年・製作公開)

 発病以来約5年後の1992年にトミ子さんが入院されて以降の病院生活を、16mmキャメラを個人購入して病院に許可を得た渡辺 生さんが、たったひとりで撮影されていた映像を中心にお借りして、記録映画界の新鋭「阿賀に生きる」の監督・佐藤 真が編集・構成を担当して作品化した16mmドキュメンタリー映画で、
 入院する以前の
自宅介護生活の記録である今回のビデオ「風流れるままにとは、描かれている時間が先行するものでした。



映画「おてんとうさまがほしい」より

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 そしてこの「おてんとうさまがほしい」は、その後、全国(約300カ所以上)で上映されてきました。折しもレーガン元米大統領が「自分はアルツハイマー病である」と公表したのが1995年‥‥来たる21世紀を目前にして、介護・高齢福祉の問題が大きく社会に問われ、叫ばれ始めた時期でした。
 以後4年の歳月をかけ、渡辺さんがこの映画「おてんとうさまがほしい」を通して、深刻な高齢化社会を迎えつつあるこの現代社会に投げかけてきた問題提議は、多くの介護者を励まし、絶大なる支持を得てきました。とりわけ、この作品の上映をきっかけに地域にできた、痴呆症老人を支える家族や介護者の会の活動と共に、老年痴呆に対するより深い理解を社会に呼びかける一助となりました。



映画おてんとうさまがほしい
の 公式ホームページ



第一部 ドキュメンタリー (45分)について

 そしてこの ビデオ
 「風流れるままに~アルツハイマー病の妻と生きる~」
  第一部のドキュメンタリー映像
は、

 入院生活を中心に描いた映画「おてんとうさまがほしい」より、さらに濃密に渡辺さん夫妻のご自宅での生活を記録しています。
 ある日突然、健康だった妻にあらわれはじめた変化‥‥生活を変え、そこに優しく寄り添う夫の数々の葛藤が描かれ‥‥やがて二人きりの生活には介護の限界が訪れます。
 このビデオは、制度や介護の方法を論じながら老人問題に迫るといった痴呆症介護の HOW TO ビデオではありません。
 永い年月、絆を培ってきた夫婦に訪れた老いと病の姿を通して、渡辺さんの生き様の深淵から垣間見える生き方と、老いを見つめる姿勢といったものを、その
日々の営みの記録の中から紡がせていただきました。



第二部 解 説  (45分)について

 第二部・解説は、
 日立市にある医療法人圭愛会日立梅ヶ丘病院院長・
岡田正勝先生にご出演いただき、老年性痴呆疾患・アルツハイマー病に関する詳しい解説をお願いしました。
 痴呆症全般の初期から後期に至る患者さんの病状の変化、介護する家族がどのように痴呆症の患者さんと接するすべきか、また、どのように正しく老年性痴呆を理解し、どんな準備をしておいたらよいのか、などを丁寧にご指導いただきました。
 

解説 老人痴呆症と介護 の概要(全13章)

11. 老年痴呆疾患とは
12. 坂本トミ子さんの脳に何が起こっているのか
13. トミ子さんの病状
14. アルツハイマー型痴呆の症状
15. 表情運動から初期症状の早期発見を
16. 記銘力障害と失算
17. 環境の変化と痴呆
18. 老年痴呆を正しく理解する
19. 老年痴呆による問題行動
10. 老年痴呆特有の記憶障害
11. 相談窓口はどこか(医療と福祉サービスの基礎知識)
12. いざというときのために
13. 愛と寛容の精神